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『GS美神』私注:「バッド・ガールズ!!」編(24巻、25巻)【再録】

あるいは、おキヌ登校編。おキヌたちがトーナメントものをやるよ、という一編である。

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「いやそーじゃなくて、動きが…/ケガでもしたかな?」
 「気づく」横島。参照、[サバイバルの館!!]23巻p179-1。

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「…ったく!!/幽霊だったときはスケベってなんだかよくわかんなかったけど…!/男の子って、みんなああなのかしら!?」
 生身になって、いいところも見えてくれば、見なくてもよかったことももちろん見えてくる。

 生き返ったおキヌが、いままで持ち得なかった<身体>を持ったことは前編に示されたところであった。幽霊の象徴=「実体としての足がない」ことが、「足をくじく」ことで否定されたわけである。そして、<身体>と<精神>とは単純に二項対立できるものではないという価値観に拠っていよう、<身体>の獲得は、<精神>にもそれ相応の変容を求める。
 おキヌはマスコットキャラではなくなる。端的にいえば、おキヌもトイレも行く。<男>にとって都合のいい、自分たちを侵さない、作品のなかの言葉でいうならば「アニマ」なキャラクターから、このあたりで脱皮していく可能性を見せているのである(もちろん、生き返ったあとのおキヌも一般的な見方からいえばついにマスコットキャラを脱し得ていないが)。このコマのセリフにおキヌによる横島の「スケベ」の「発見」を見たとしても、それによっておキヌが横島をキライになったとは誰も読まないだろう。二人の関係の新しいステージへと向かう可能性が、この二編([サバイバル~]、[バッド~])には配置されていよう。

 なお、この編の各回のトビラ絵は、ほとんどおキヌ(しかも「生きたおキヌ」)が飾っているわけだけれど、横島とおキヌのツーショット(!)がわざわざこの回のトビラであることは、単なるサービスじゃないのであって、必然性ははっきりとあるのだ。

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こう見える。「ああっ!?ケーベツのまなざし!?やめて…!!許して─!!」
 おおざっぱに言えば、やましい心があるから「こう見える」。
 でも、おキヌの胸中(前のコマ)がある意味わかってても、横島はそっちの方向へはわざと解釈しないで、「こう見え」続けるようにふるまっていく(「のぞこうとした→彼女は怒っている」と思いこもうとしつづける)にちがいないのだ。
 「ここでおキヌちゃんにまで殴られたら生きる希望が─!!」(27巻p91-2)ということばもそうだけれど、横島にとっておキヌは、他の女性たちとは(美神とは違う意味で)特別である。


(2000/03/21。03/23改訂、01/11/21二訂。03/08/17新訂。20/11/19再録、語句修正)