"Logue"Nation

ローグネーション。言葉と図像を手がかりにまんがを「私」が「読む」自由研究サイト。自費持ち出しで非営利。引用画像の無断転載を禁じます。

2022年、おもしろかったまんが十選

振り返る時間もないままに忘れてた。定点観測的に挙げる。順不同。 0,三島芳治『児玉まりあ文学集成』(リイド社) 僕ヤバが260万部売れているなら、三島芳治『児玉まりあ文学集成』は26億部売れてもおかしくない。4巻待ってます。 0,長田悠幸・町田一八『…

Led ぼっちちゃん Ⅱ― 12話のライブ「星座になれたら」の好きなところをただ挙げていく

8話に負けず劣らず、最終12話「君に朝が降る」の、特に「星座になれたら」のライブシーンが良かった。観て考えたところをただただ書き連ねてみたい。 1.喜多ちゃんの視線、ぼっちの視線 最終話は、1話との対比も楽しいが、8話「あのバンド」と「星座になれ…

Led(by)ぼっちちゃん ― アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」8話「あのバンド」の全身総毛立つところを挙げていく

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」#8が凄い。タイトル回収回は伊達じゃない。 作り手側のインタビューなどもぜひ読んでみたいけれども、とりあえず最終回になる前に、他に情報を入れずに自分なりに観て考えたことを、視聴の記録として並べていきたい。 nico.m…

『僕ヤバ』の語りと表現が楽しい②

rinraku.hatenablog.jp からの続き。 3 「大丈夫」と「頑張れ」 7巻Karte.96で、市川は広島にいる山田に「大丈夫」とLINEを送った。ここまで「頑張れ」と「大丈夫」は、山田が市川に投げかける言葉だったから、ここはそれへのアンサーとして機能している。…

『僕ヤバ』の語りと表現が楽しい①

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』7巻(秋田書店)読了。 『僕ヤバ』は、筋そのものを追うのも楽しいけれど、表現と語りについて考えて読みに参入させていくのもたいへんに楽しい。いくつか、こういうことも言えるんじゃないか、ということを並べていきたい…

2021年、おもしろかったまんが十選

1,三島芳治『児玉まりあ文学集成』(リイド社) 2年連続俺1位。3巻刊行するもおもしろさは衰えず。この本が5億部売れていないのが不思議と言わざるを得ない。 「言葉は人の心に効くわ/人の心にしか効かないけど/猫の心にも通用しないし石ころも動か…

『こち亀』野郎!―『こち亀』追跡200キロ:36~40巻

36巻 ■ムッシュ・塩浦 4階建てバスの成功の半分は、この人の天才によるところが大きい。 「ニーハオ ボンジュール わたしなんでも作るメルシー ぜひたべにきてねグラッチェ」([ノガミブルース]p13-4) どっからこんな逸材を見つけてくるのだろう…。 ■両…

『こち亀』野郎!―『こち亀』追跡200キロ:31~35巻

31巻 ■両さん パチンコの天才の片鱗が見える([全日本パチプロ大会!])。 パチンコの才能は、数ある両さんの才能のなかでもちょっと特異なところに位置しているように思われる。この回にしてもそうだけれど、自分でこの才能を誇示したり、この才能をも…

『こち亀』野郎!―『こち亀』追跡200キロ:26~30巻

26巻 ■両さん 「オモチャ歴30数年 人は私を生きたGIジョーとかリカちゃんのお友だちわたるくんのかくし父親とよぶ……」([両さんの留学!?]p159)とあり、このころからおもちゃウンチクが見えてくる。 <手先が器用+プラモ+おもちゃ>、の三位一体につ…

『こち亀』野郎!―『こち亀』追跡200キロ:16~20巻

16巻 ■部長 上司・常識人としてのツッコミ役の位置は不動だが、両さんに対抗して見境をなくしていく部長、という位相がすでにみられる (たとえば「すごい!ジャンプしながら6回もひねりをいれたぞ!」[汗は金なり!?]p77) 。 この<いざとなったときの…

ラブひな雑考

ジャンプ+やマガポケの類いをいくつかまとめて見ると、針に糸を通すようによくもまあこんな微細な違いを見つけてそれをテコにお話を立ち上げるなあ、と、驚きと呆れとが交錯する。もちろんその中にも珠はあるのだけど、いわゆるハーレムものを複数本読むと…

『こち亀』野郎!―『こち亀』追跡200キロ:21~25巻

『週刊少年ジャンプ』では『こち亀』の日暮登場回が掲載されるらしい。そういえば以前、秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)に関するノートを書いていて、今読み返したら日暮についても触れていた。以下、そのページを再録する。 21巻 ■両さん…

『冴えない彼女の育てかたFine』の「ULTIMATE♭」:過去を引用し現在と未来の立ち上げを支える歌詞と旋律について

劇場版『冴えない彼女の育てかたFine』(2019)の、一番のクライマックスの場面で流れる挿入歌「ULTIMATE♭」を起点に考えたことを記したい。(以下ネタバレあり) テレビシリーズ『冴えない彼女の育てかた』3話の「M♭」、2期8話の「ETERNAL♭」、2期最終…

『神のみぞ知るセカイ』私注4:最終二話、地上の恋について

(以下、同作のネタバレが大いに含まれます。同作の通読後に御覧ください) 4.最終二話、地上の恋について 若木民喜『神のみぞ知るセカイ』最終二話(26巻)について、いくつかのコマを取り上げて読みを提示してみたい。 26-197-5 「桂木えり!?」 「えり」と…

『神のみぞ知るセカイ』私注3:過去編、「現在」と「過去」の交錯と反復について

(以下、同作のネタバレが大いに含まれます。同作の通読後に御覧ください) 3.過去編、「現在」と「過去」の交錯と反復について 解決したように見えた女神編のあと、桂馬が理由がわからないままに過去に戻ることになる。理由と、すべきことがわかりはじめる…

『神のみぞ知るセカイ』私注2:女神編、恋の感情を操って現実世界を救うことの悲壮について

(以下、同作のネタバレが大いに含まれます。同作の通読後に御覧ください) 2.女神編、恋の感情を操って現実世界を救うことの悲壮について 6人めの女神捜しの展開は本当におもしろい。女神捜しが話題になった初めの段階ですでに歩美とちひろが並べられ、「…

『神のみぞ知るセカイ』私注1: 誰エンドになる物語か―ヒロインについて

若木民喜『神のみぞ知るセカイ』(小学館、2008~14)についての読解を提起したい。私はリアルタイムで追っていた読者ではなく、アニメも経由していないので、連載や放映と伴走した読者の熱狂とはまた違うのだろうとは初めに述べておきたい。 (以下、同作の…

2020年、おもしかったまんが・十一選

1、三島芳治『児玉まりあ文学集成』 ぶっちぎりで一位。いやー、凄い本に出会った。 2、橋本悠『2.5次元の誘惑』 まんが家編がいい。続刊8巻に収められるはずのある回のある台詞について、ジャンプ+のコメントの反応がけっこう興味深かった。これは後日取…

『GS美神私注』(最終回):「地上より永遠に!!」「ネバーセイ・ネバーアゲイン!!」編(39巻)

あるいは、美神悪霊編。過去の話との対応が随所に敷かれ、原点回帰の最終回。 ■「地上より永遠に!!」01 86 2 「あった……! 前のまんまだ、道路標識…!!ここで私──/最初に横島さんと会ったんだ…!」 この回は、1巻第1話、[美神除霊事務所出動せよ!!]と対…

『GS美神私注』「マジカル・ミステリー・ツアー!!/キツネの変奏曲!!」編その他 (38巻、39巻)

あるいは、タマモ成長編。美神が不在であるうえで、物語がどう展開されるかが楽しめる数編。 ■「呪い好きサンダーロード!!」01 49 4 「コ・ノ・ウ・ラ・ミ…/ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ──ッ!!」 いうまでもなく、藤子不二雄『魔太郎が来る』が元ネ…

『GS美神私注』:「GS美神’78!!」編 (37巻、38巻)【再録】

あるいは、美智恵活劇編。若き日の美智恵、唐巣神父をめぐる一編。 01 69 3 「僕が説得しました、お父さん!! 何があってもたったひとりの父親じゃないですか!」「君は娘の恋人の……!?」 この話はひさびさに、横島が美神に対して煩悩キャラとしてはたらいてい…

『GS美神私注』:「フォクシー・ガール!!」編その他 (36、37巻)【再録】

あるいは、物語世界再出発編。シロの復帰、タマモの登場に向かう数編である。 ■「ドリアン・グレイの肖像!!」01 11 1 「モデルは女性がいいと思います!! できればヌード!! せめて水着姿ってのはどうでしょう!?」 このセリフからは、ルシオラの死を抱える者と…

『GS美神』私注:「ファイヤースターター」編 (35巻)【再録】

─欠番─ (2002/04/03。20/12/04再録)

『GS美神私注』:「ジャッジメント・デイ!!」編 (後) (35巻)【再録】

あるいは、横島成長譚終了編。アシュ編が大団円に終わる一編である。 ■「ジャッジメント・デイ!!」 (後)17 66 1 「戦う動機が横島クンより低レベルだ…!? 大丈夫か!?」「美神さ~~ん!!」「心配いらないわ、気合いはちゃんと入ってる。あのコなりの照れかく…

『GS美神私注』:「ジャッジメント・デイ!!」編 (中) (34巻、35巻)【再録】

あるいは、横島慟哭編。アシュタロスの野望が終焉する一編である。 07 74 2 「一緒にここで夕陽を見たね、ヨコシマ……/昼と夜の一瞬のすきま──/短い間しか見れないから……きれい……」 改めて、物語がルシオラと夕陽をどう描いてきたかをなぞってみると、(1)「…

『GS美神私注』:「ジャッジメント・デイ!!」編 (前) (33巻、34巻)【再録】

あるいは、東京タワー編。ルシオラが消滅する一編である。 ■「疑惑の影!!」03 123 1 「………/どこでもいい?」 「芦優太郎」の誘いに対して意外にもOKを出す美神。 この美神のセリフ、「………」のタメがポイントだろう。 あとになって、一連の出来事は芦優太…

『GS美神私注』「甘い生活!!」編(32巻、33巻)【再録】

あるいは、横島ルシオラ恋愛編。パピリオが丸め込まれる一編である。 02 16 2 「じゃ、なんで──」 夕焼けを見る二人。 かつてヨコシマがルシオラに投げかけた、「夕焼けなんか、百回でも二百回でも一緒に──!!」(「ワン・フロム・ハート!![その1]」30巻p1…

『GS美神』私注:「GSの一番長い日!!」編(32巻)【再録】

あるいは、南極謎の爆発編。対アシュタロスで、美神とルシオラが共闘する一編である。 01 53 3 「バベルの塔……!!」 天(神)に届かんとするアシュタロスの野望の象徴。01 15 1 「ベスパ! パピリオ!?/無事だったのか!? 殺されたんじゃないかと心配──」「黙…

『GS美神私注』:「ザ・ライト・スタッフ!!」編その他(31巻)【再録】

あるいは、横島自立編。美神が自分とは無関係に成長する横島に違和感を感じていく一編である。 ■「ザ・ライト・スタッフ!!」01 44 3 ズビュウウウッ 【眼のアップ】と、そのなかに映る、相手の姿。 これは、「ワン・フロム・ザ・ハート!!」編、ルシオラの「…

『GS美神』私注:「ワン・フロム・ザ・ハート!!」編  (30、31巻)【再録】

あるいは、横島決断編。ルシオラが一躍ヒロインになってしまった決定的な一編である。01 187 4 「南米で最初の基地を作ったとき、骨と一緒に金が出てきたのよ。」 「私を月まで連れてって!!」編の回収。 01 188 2 (そういうつもりで──!?) 前のページ、P187…