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ローグネーション。言葉と図像を手がかりにまんがを「私」が「読む」自由研究サイト。自費持ち出しで非営利。引用画像の無断転載を禁じます。

『GS美神私注』:「ザ・ライト・スタッフ!!」編その他(31巻)【再録】

あるいは、横島自立編。美神が自分とは無関係に成長する横島に違和感を感じていく一編である。

■「ザ・ライト・スタッフ!!」
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ズビュウウウッ
 【眼のアップ】と、そのなかに映る、相手の姿。
 これは、「ワン・フロム・ザ・ハート!!」編、ルシオラの「な…」というルシオラの眼のアップ(p36-1)と(ムリヤリにでも)対比させて、読んでおきたいところです。

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 ルシオラの眼のなかには横島がいる。美神の眼のなかには、敵がいるだけで、横島はいない。当たり前といえば当たり前なんですけども。このことを図式化すれば、
横島 → ⇔ ルシオラ  (横島の方から<関係>を求めて、お互いに向き合う)
  ※この場合の<関係>=「アシュタロスを倒す」という約束を交わすこと。
そしてルシオラは、横島が向き合うことを求めたのに対し、それを受け容れる。
 では、美神は?
敵 → ⇔ 美神  (敵(≒美智恵)の方から<関係>を求めて、お互いに向き合う)
  ※この場合の<関係>=戦うこと(≒パワーアップすること)。
 が、美神は、自分からパワーアップを求めてるわけではない。美神が、母・美智恵に対して求めている<関係>は、(私…がんばってるじゃない…!!)(p48-4)ということを認めてもらうことなのであった。

 少なからず、親子の<葛藤>というのもテーマになりかかってるのかと思わされます。が、なりかかりつつも、今後にはさほどの発展は見ない。
 このあたり、わたくしの見たところ、美神の<内面>に光を当てようとする伏線がいろいろ張りめぐらされている向きがある。親子の<葛藤>もそう。ルシオラ登場も、内容的には、美神に横島との関係を見直させるために奉仕するはずのものだったと想定されますが、物語はそちらに発展していきません。あまりにルシオラ(をめぐる物語)が魅力的すぎたからか?

 さらに、横島、美神、ルシオラをめぐる【目(視線)】については、形はちがいますが、p188~189で、ルシオラを見る横島(横島 → ルシオラ)と、横島を見る美神(美神 → 横島)とにズレが示されている(後述)。

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ばんっ 「横島クン!?」
 嬉しそうな表情。
 次のコマでは【集中線】で横島をコマの中心に据える。美神の視線に即した映像と見える(西条はワク外に切れている(!))。ところが、

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「………/ただいま──!」
 横島の反応は、美神が予想していたものとはちがう。
 おキヌが次ページで「なんか…感じが…落ちついたってゆーか…」というような横島の変貌に、美神はまず、思わず魅入ってしまい(美神の顔に入れられた【斜線】でわかる)、言葉を失ってしまう。おキヌはいちおう言葉で表すことができるのに、美神が表すべき言葉を持てない、というのは、それだけ美神の驚きが大きいことを示している。
 言い換えれば、おキヌより美神の方が、横島が変わらないことを強く求めていることを表していましょう。言葉を失ってしまう、とは、それだけ感じた違和感が強いということだから。

 これとかかわるけども、横島の変貌に、魅入るだけではなく、一方でとまどい苛立つ美神の姿も、このあと見えてくる。西条を連れて酒を飲む場面、「…おかしいわよ、絶対! なーんかあったにちがいないわ!」(p63-3)などがそれだ。
 彼女にとって重要なのは、変貌そのものじゃなく、変貌の理由(=ルシオラの存在)が、自分と関わりの見えないところであったらしく・またそれがわからないからであろう。
 そういった、横島のまつわる物事に自分が関与(ひいては管理)してないと気が済まないというクッセツした愛情は、「…私が問題にしたいのは…/あんたが私のゆーこときかないってことなのよっ!!」「結局、本音はそこですかっ!!」(誰が為に鐘は鳴る!!」編、11巻p10-1)なんてところでも見受けられました。
 クッセツした愛情、といちおう定義づけておいたけども、あるいは、自分のあずかり知らない何らかの事象が原因で世界が成り立っていくのを許せない性格。

   ○    ○    ○    ○

 「ただいま」というのは、これまでの横島からは考えられない反応だった。美神にとって考えられる反応というのは、before→after(p64-1,2)でいう「before」が示してるような反応である。
 「before」のコマ(「デッド・ゾーン!!」編23巻p19-2)の次のコマを見ると、横島は「怖かったよーっ 怖かったよーっ」と言ってる。このとき、胸をさわってしまう→いつもどおりギャグに回収されるのだけども、それはともかく、つまりは、危機的状況において横島は美神にすがろうとしているといえる。まるで子どもが母(≒胸、乳房)にすがるように。
 が、「ライト・スタッフ!!」編では、横島は、「怖かったよーっ」と飛びつかず、「ただいま」という。美神の庇護を離れるような印象。そういう横島の<自立>(?)は、同時に、美神に違和感とかたちにならぬ苛立ちを何となく覚えさせるのであった。

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「──!?」どき.「お…おかえり。」
 美神のコマは横島のコマの大きさに気圧される。つまり、コマのかたちの相対関係が、登場人物の心理の相対関係の喩となっているのである。
 あんまり【変形コマ】を用いないまんがではあるが、必然性があれば【変形ゴマ】も用いられるのでありました。

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「そりゃ、美神さんにまだぜんぜん及ばないにしても、」
 伏線。横島「思いなし」理論も思い出されます。

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「限界を超えるには、一度私をぶっこわす必要があるわ。ママは、追いつめられた私があらゆる抑圧や理性から解放されるのを待ってるんでしょ?」
 『ドラゴンボール』終盤、セルとの最終決戦を控え、悟飯が理性を解放することを目論む悟空なんかを思い出す。どちらも親子だし。しかもどちらも失敗してるし。
 ちなみに、何かと批判の多い『ドラゴンボール』後半ですが、悟空のこの目論みを理解し、かつその失敗を見通すのが、悟飯のもう一人の「親」、ピッコロであるのはむちゃくちゃいい。あのあたりは、『ドラゴンボール』後半の白眉です。

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「何かって……!?」 ぴくっ
 「ぴくっ」というのは美神がほかの女性と横島との関係に嫉妬の感情を起こすときのキーワード(たとえばおキヌ復帰後23巻p112-2。「ぴしっ」というのもある)。

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「くそおおおッ!!」
 この周辺の横島の、【おちゃらけ目】⇔【マジ目】の使い分け(反復)はうまい。

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 個人的には、【おちゃらけ目】の多用はけっこう引くけども(そんなことしなくてもギャグがおもしろければそれでいいじゃん、と思うから)。【マジ目】を引き立たせる意味で用いられるときは良い。
 だから、同じ『極楽』でも、アシュ編戦後の【おちゃらけ目】多用は、ちょっと好みではなく、このようなやたらな多用をみても、もはや<シリアス⇔ギャグ>という特性をなかなか成立させがたくなってしまうアシュ戦後、という性格が見てとられる。この件については、「アシュ戦後における<ルシオラの呪縛>」として、後述することにします。

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 トビラ、「極楽亡者」の1ページめ(1巻p161)とリンクする。
 『極楽大作戦』ではなく、読切「極楽亡者」での関係が強調されるということは、おキヌが疎外されていることでもある。

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ルシオラ…!/ちゃんとおめーに、見る目があったこと証明してやるぜ!!」
 「おめー」という呼称を、やっと横島はルシオラにいうことができる。参照、30巻p190-2。

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「俺にしちゃ、上出来だよな………! ニセモノとはいえ、美神さんに───/ヒキワケ──ぶッ。」
 やはり、横島の「思いなし」(先述)。美神と対決する横島に関しては、[はるかなる猫の呼び声!!](15巻)での直接対決シーンをなぞるものとして読める。

 

[ザ・ライトスタッフ!!] [はるかなる猫の呼び声!!]
p81-4 p171-1
p81-5(「あの──美神…さん?」キンッ) p171-2,3(「あのね、こいつら妖怪だけどそう悪い奴じゃ…」キンッ)
p82-1(「わ──ッ!!」ビシィッ) pp174-3(「バカたれ──!!」「わ゛──っ!!」)

 ここにはズレが生じている。[はるかなる…]が、 「横島クンの思考パターンなんか全部お見通しよ!」(p170-2)、「本気でやりあっちゃったけど… お…俺はなんてことを…」「「本気で」…?/この…」(p174-1)と、美神の方が一枚上手で、本気の横島、わざと負ける美神という関係だったのに対し、ここでは、関係が逆転しているのである。構図の反復に横島の成長が見いだせる結構。

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 そっ/「──いつのまに、そんなに強くなっちゃったの?/横島クン……!」
 横島が【白目】になったときだけ、横島と向き合える美神。

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「………/おまえって不思議な奴ね。/ふだんは、どう見てもたいした奴には見えないのに───期待されると、あっというまに不可能なんかのりこえちゃう。まるでトランプのワイルド・カード!/本当に必要なとき、おまえは力を発揮するんだから…!」
 シリアス⇔ギャグ往還型少年まんがにおける、主人公の王道。ピグマリオン効果

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「「俺にホレろ」って言ったクセに………!!/なんなの、その女は!?」「え…? えーと、…誰?」「あんた今、なんのために闘ってるかわかってんの!?」「誰、あんたは!? 彼は今、私のために──」
 横島をとりあう二人の魔族。前哨戦みたいなもんです。とはいえ、このアシュ編を通じて、横島は「なんのために戦う」のかは、これまでとはちがった意味あいを含むことがここにして早くも示されます。

 ■「激突!!」
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「私の犠牲が必要なら、頭下げて「すいません、強くなっていただけますか」とゆーのがスジでしょっ!?」「あ、あのね──」
 この「私注」は、基本的にアシュ編では美神にカラいが、こういうセリフは美神の本領発揮って感じで、ほんとに良い。

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「処分したよ。必要なくなった道具を、君はどうする? 当然だろ?」
 「処分した」というセリフにキレる横島。

 後の展開からいえば、実際は三姉妹は「必要なくなった道具」のように「処分」されたわけではないことがわかるので(とはいえ連載当時も、これでルシオラたちが二度と登場しないだろうとは思わなかったが)、このアシュタロスの言葉を矛盾ととる向きもあるけれども、矛盾ととらない解釈の可能性もある。

 アシュタロス側の美神陣営への接触の目的は、美神を直接南極に呼び寄せるところにある。そのために最も重要なのは、じつはベスパが美智恵を刺すことなのである。
 アシュタロスにとって、この一点は踏み外してはならない最優先課題といえる。そうすると、全てのアシュタロスの行為・言動は、ベスパの接近を隠すためのオトリという側面をもっているととることができる(例えば、「もうあいつらは来ないから、安心してくれ。」p129-3)。アシュタロス側には、ある一貫したオペレーションが存在していると見るのが妥当だ。ならば、このアシュタロスの「処分」発言も、そのオペレーションを補完する意味を見ていい。

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(もう二度と──)「お願い!! 言うとおりにして!!」(奴にあんたを奪われたくないのよ…!!)
 【集中線】のフキダシは、前世のメフィストの言葉を示す。一瞬立ち現れる前世。
 ここからさかのぼれば、少しまえ、アシュタロスと接触した横島のコマ、「(知ってる……! 俺はこいつを知ってる…!!)(なんだ…!? 見たことのない奴なのに──)」(p116-3)にみえる、やはり【集中線】で示された心内語は、前世の高島のものと読める。【集中線】の心内語=前世の語りかけ、と見なすことのできることにおいて、この二つのコマは構図上リンクしていると考えられよう。

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「…ここへ来る前にいろいろ調べたんだがね、どうやら君は、五年前に死んでいるそうじゃないか。/葬式に出した死体は、死後どれくらい保存されていたものだったのだろうね? 歴史を変えてみたくはないかい? 美神令子君。」「!!」
 このアシュタロスの発言は難解とされてきた。直接この発言をうけるような場面が後には見つけられないからである。
 時間移動がからむことも問題をやっかいにしている。わたくしは、物語全体における時間移動の統一的解釈については棚上げする立場をとりますが(注1)、このアシュタロスの発言について、アシュ編にかぎってなら、物語の展開に積極的に関わらせる解釈が可能なのでは、と考えます(注2)。

 アシュ編における、美神母・美智恵と時間移動に関するセリフとしては、
(1)「おそらくこれが私には最後の時間移動になります。事件解決まであなた方と行動するつもりです。」「!」/「ママ…/ひょっとして今のママって私が中学生のときの──!?」 (「続・仁義なき戦い!!」30巻p77-2)

(2)「過去に戻った私は、関係者との連絡は一切断ちます。表向きは死んだことにして──/今日が来る日まで五年間、行方をくらませて沈黙──約束は守るわ。」[…略…]「そーねえ…パパのところにいるわ。」[…略…]「ちょ、ちょっと待って!? これって…ひょっとして最初からそーゆうことだったとか…」「…その可能性は高いかもしれないわね──」/「じゃ、何!? ママはずっとパパのとこで死んだフリしてたわけ!?」 (「エピローグ:長いお別れ」35巻p140-1)
の二つが挙げられる。
 ここから、ある語られざる場面が妙に気になりはじめないだろうか。すなわち、美神母の葬式である。この葬式はアシュタロスの発言に関わるキーにもなる。
 葬式の状況を想定してみたい。(2)での美神の反応(「せめてあやまれ──ッ!!」)、また、13巻「母からの伝言!!」で示されてきた、父・公彦への美神の疎遠さからして、<公彦によって中学生の美神には美智恵の死因が秘された>という可能性を仮定できないだろうか。
 中学生の美神は、美智恵の死と葬式に対して、その事情に対する不審と、同時に公彦に対して不信を抱かざるをえなかった。(1)は、美智恵の出現によって、かつて美神が抱いたはずの不信に瞬間的に直結されたゆえの表情ととれる。しかし美智恵は事情をはぐらかしてしまう(これは、この段階の美智恵自身、自分が時間移動してしまったあとの、5年前~現在の世界の状況を知らないからと思われる)。美神の不審は解決されない。

 さて、アシュタロスの「保存されていた死体」云々の話は、美神(と読者)に、葬式が実際の死からずいぶん遅れてなされた可能性を示唆する。だが、ここでアシュタロスが葬式の遅れた真相を知っているかいないかは、実は問題ではない(おそらく知らないだろう)。アシュタロスにとっては、美神を南極に直接赴かせることが重要なのであって(前々項参照)、この発言はそのために作用していると考えるべきだ。そしてじっさい、美神の気をひくのに十分な語り口となっているのである。美智恵の死と葬式の謎、またそれにまつわる不審と不信を解きたい美神の欲求を刺激するのに十分な語り口なのである。

 が、真相を知らないとはいえ、アシュタロスの発言じたいは、全く根拠や確信のないものというわけでもない、と思われる。アシュタロスが、美智恵の死に疑問を抱いているのは確かだけれど(「…ここに来る前にいろいろ調べたんだがね、/どうやら君は五年前に死んでいるそうじゃないか。」p150-2)、では、何を調べたのか。そこまで疑問はふくらんでしまいます。
 で、アシュタロスは美智恵の墓を荒らしたのではないか、とまでわたくしは想像をたくましくしたい。そして墓には死体はなかったはずなのだ。その場合、アシュタロスが、この墓荒らしによって美智恵の死の真相に大きく疑問を抱いたことはまちがいない。おそらくはアシュタロスも答えは出ていないと思うが、そういう段階を踏んでいたゆえに、アシュタロスは美神にもっともらしいカマをかけられるのではないだろうか。

 アシュタロスの言うとおり、美智恵の「死」と葬式との間には不自然なズレがあったと見たい。カマかけが成り立つためには、カマをかける方の語り口にもっともらしさが必要であるとともに、カマをかけられる方にもかけられるだけの思い当たるフシがなければならないからである。つまり、美神自身、そのズレに不審と不信を抱いていたはずなのである。
 このズレの真相は何か。仮定に仮定を重ねるが、美智恵が五年前に現在へ時間移動したのが「死」として周囲には説明されたのだろう。12巻から推測すれば、雷が落ちて美智恵に直撃し、死体が消失したととるのが妥当だ。そして、美神自身はその事情はわからなかった(12巻「母からの伝言!!」で初めて美神は美智恵が能力者であるのを知る(p18,19)。美智恵が幼いうちは能力者であることを隠しておこうとしたからだろうと推定される(p45-3))。
 だが、葬式には遺骸がなぜかあった。35巻で時間移動して5年前に戻った美智恵が公彦と共謀した茶番である(美智恵も、消失したその日ジャストには戻れなかったと見ておく。それ以外に、消失した日と葬式の日のズレを説明できる理由がない)。美智恵消失から葬式までどれくらいの日数が経ていたかは不明だが、おそらく不自然なくらいには時間が経っていたと思われる。とうぜんこの死体はにせものであろう。美智恵自体が遺骸を演じていたかもしれないし、人形(ひとかた)を使ったかもしれない。とにかく、美神にしてみれば、死後日数が経っているにしては不自然な状態だった。

 どうせ想像をはたらかせるならこの辺まではたらかせてみてもいいのではないでしょうか。とはいえ、この想像でも重要な点──美智恵は、なぜ現在に時間移動したのかという理由については解決しがたい。
 「事態を知った私は本部にかけあい、猶予を要請しました。私が指揮すればアシュタロスの調伏が可能だと説得したのです。/最悪の場合、私自らの手で娘を殺すという条件でね。」(本話、p120-1)と言っているが、いつどこで「事情を知った」のだろうか。不審としておく。

注1 『美神』における時間移動問題については、夏のこたつ氏「『GS美神極楽大作戦!!』における時間移動の扱い」(『紙の砦!!』3、1999・8)、井汲景太氏「時間移動能力に関する疑問と検証」(『紙の砦!!』4、1999・12)にまとまった指摘がある。どちらも単なる帰納ではなく、場面場面の確かな<読み>に支えられ、また<読み>そのものを豊かにしようという姿勢がいい。

注2 以下の考察は、アシュ編終了後までを読んだうえでの逆算から成り立たせた<読み>であることをお断りしておく。連載当時、この発言が作者のどのような意図によってなされたかはわからない。もしかしたら別の展開の可能性があったのかもしれない。が、何度も繰り返すように「私注」は、「作者」の意図を極力排する姿勢で読む試みなのでご諒承を。

 

■「そして船は行く!!」
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ぽてっ 「…そのホタル、なんかやたら横島さんにくっつきますねー。」
 そういうことに気づけるのが、おキヌなのであった。
 みなアシュタロスが置いていっていった道案内の使い魔ぐらいにしか見ていないこのホタルに、無意識のうちに<女>を感じ、気にする。──横島のことをよく見ている。

02 189 2
「すぐそばにいたのに。俺… 気づいてやれなかった………!」「あんた… そのルシオラって娘のこと──」「……… すんません………!」
 p188-3,4,5からの流れであるが、上でも触れたように、

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美神の【視線】に対し、横島はこの2ページでは向き合わない。そのズレ。

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「スケベなあんたは女のために──/そして私は──/ママを救うため……」
 横島とルシオラの関係を「横島のスケベ」というカテゴリーに収斂させて理解しようとする美神。30巻p172参照。

 

(2000/08/26。2001/07/02改訂。03/08/17新訂。20/11/27再録、語句修正。引用は椎名高志『GS美神 極楽大作戦』(小学館<少年サンデーコミックス>、1992-99)、文中で同作の画像の引用をする場合はkindle版による